2024年度スローガン

不易流行

~当別JCらしさを忘れずに~

理事長所信

2024年度理事長

柴田 涼

SHIBATA RYO

一般社団法人 当別青年会議所

はじめに

 近年「JCしかない時代」から「JCもある時代」を迎えたと耳にすることが多くあります。おそらくこれは様々な職種における団体や青年団体など乱立している現在の中で言われるようになったと思います。しかし本当に「JCもある時代」を迎えたのでしょうか。

 私は2018年に青年会議所に入会し、これまで様々な役職や担いを与えていただきました。その中で多くの仲間と切磋琢磨し時には苦慮する中で、青年会議所活動で多くの気づきや学びがあり仕事や人生の価値観をより良い方向に変革され成長することができたと実感しているとともに、今の私があるのは「修練・奉仕・友情」の三信条を通じて責任感と情熱を持った同志と多くの発展と成長の機会の中で活動してきたからだと思います。

 1980年にこのまちを想う47名の青年によって誕生した当別青年会議所の設立趣意書には「わたくしたちの青年会議所は多忙でもいい、唯この地を愛し、未来に大きな夢と希望をもった青年の集まりにしたいと思います。」と記載があり、43年間受け継がれてきたこの創始の精神こそが当別JCのアイデンティティーであり当別JCらしさだと思います。 

 「JCもある時代」では無く、今までもこれからも当別JCは唯一無二の存在であり、創始の精神を受け継ぎ当別JCらしくこのまちを愛し多くの人々を巻き込み運動を起こすことにより、このまちの未来を「明るい豊かな社会」にできると確信しています。

ミレニアル世代の当事者意識の醸成

 昨今このまちでは2022年にロイズタウン駅が完成し、小中一貫校のとうべつ学園が開校しました。また医療機関の誘致、新築住宅の購入支援金の交付等の当別町の主体性のある施策により北海道の大半の市町村が人口減少に直面している中、令和3年度から人口が社会増となりまちの未来に明るい兆しが見え始めています。しかし、まちの将来像やまちづくりの方向性を定めた「当別町第6次総合計画」は行政と町内の様々な団体の長で策定し、パブリックコメントも実施して町民から意見を募り、まちのホームページや広報で結果を発信しておりますが、実際に多くの町民に伝播しているとは言えない状況にあると考えます。そして、普段私たちと近しい年代と接している中でもこのまちを担う20代中盤から40代前半までのミレニアル世代のまちづくりへの興味関心の低さを感じることが多く、このまちの明るい豊かな社会の実現を目指して運動している我々青年会議所は大きな問題であり、このような課題を解決するためには、これからを担うミレニアル世代の当事者意識の醸成が必要です。

 その当事者意識を育む一歩としてまちづくりに関わる機会を創出し、このまちの一員であることの自覚を持つことで、まちの将来ビジョンを知ることなど、まちの未来を自分ごととして捉える意識を醸成して参ります。また我々青年会議所も同世代である方々にまちづくりに資する活動やこのまちのことなどを多く発信し、目に触れる機会を増やすことも重要だと考えます。

 私たち青年会議所が多くのミレニアル世代を巻き込み、当事者意識をもって自らまちの将来を想い積極的にまちづくりに参画する意識を醸成し、このまちの明るい豊かな社会を実現に向けて邁進して参ります。

発想の転換から生まれる新たな可能性

 昨年北海道医療大学が2028年4月を目途に当別町から北広島市に移転するということが急遽発表されました。当別町と北海道医療大学は約50年間の関係性があり、当別町としても平成25年11月に北海道医療大学と包括連携協定を締結し、互いに有する様々な資源を提供し、幅広い分野で相互に協力し、地域社会の発展と人財育成および学術振興に寄与することを目的として学生の町内居住を促し、まちの賑わいを創出していくほか、福祉施設や小中学校で学生が活動できる場を設けるなどまちづくりに対する機運を高めていた中での急な移転計画に驚きを隠せませんでした。また、町内には約900人の学生が住んでおり、その学生がいなくなると大幅な人口減少、アパート、マンションの空室問題、飲食店と小売店の売り上げ減少等経済的な損失が20億円(「北海道新聞」より引用)ほどになるという試算も出ており、JR当別駅から北海道医療大学駅までの廃止の可能性、また町内のイベントには学生のボランティアが多く活躍している中でまちの活気も大幅に無くなるという懸念から、このまちに対する多岐にわたる影響は計り知れません。

 私たち青年会議所は愛するこのまちのピンチに立ち向かいチャンスに変えるきっかけを生む運動を展開し、ネガティブな問題を私たち若者の枠にとらわれない柔軟な発想とアイディアでポジティブに考え、解決策を模索し具体的なアクションと行動力で運動を展開して参ります。

 この先もこのまちに大きな問題があろうとも、未来の明るい豊かな社会の実現に向けてこのまちに住まう人々と手を取り合い多角的な視点を取り入れながら逆境に立ち向かい、新たな可能性を見出し持続可能なまちを創造して参ります。

理念共感から会員拡大へ

 私が入会した2018年は会員数が13名程で現在の会員数の半分以下で活動していました。しかし、近年の会員拡大活動の成功により会員数は30名を超え、メンバーが多様化したことにより幅広い視点と人脈が増え運動の推進力が高まっています。一方で、このまちに山積する課題を解決に導くためにはより多くの我々と同じ志を持つ人財が必要不可欠であり、まだまだ会員を増加させ課題解決に向けた運動を展開していくことが必要だと考えます。会員拡大は意識変革団体である青年会議所の根幹的な運動の一つであり、当別JCがこの先も持続可能な組織であるために、今年度もより一層推進力を高める必要があります。

 青年会議所の理念は「修練」「奉仕」「友情」の三信条を通じて明るい豊かな社会の実現を目指すことです。この三信条の意は、JC運動とは若い人々が集まって自己啓発・修錬を行なう場であり、培われた力を用いて地域社会にサービス(奉仕)することです。そして、そのトレーニング・サービスを支える力として、会員全員、同士を貫くフレンドシップ(友情)がある、というものです。この三信条を積み重ねていき様々な関係各所を巻き込み、インパクトある運動を断続的に展開することにより明るい豊かな社会の実現を目指すことができます。この理念をこのまちに住まう会員候補者との協働や、学びの機会を通じてJC運動に対する共感を得ることが重要だと考えます。

 メンバー一人ひとりが多くの会員候補者にJCの理念を伝え、共に活動する仲間を増やし、青年会議所運動をさらに大きなものにした先に、このまちの明るい豊かな社会の実現ができると確信しています。

持続可能なLOMに向けての基盤強化

 全国の青年会議所メンバーの平均在籍年数は、2019年の7.5年に対し2022年には4.2年と大幅に短くなっており、さらには在籍年数4年未満が48%と短い会員が増加傾向にあります。当別JCも入会から4年未満のメンバーが約50%おり、メンバーの多様化が進んだことから一部のメンバーはJCが何のために存在しているのか、また自分達が何のためにJC運動をしているのかを十分に理解しきれていない傾向にあります。そして一部のメンバーは入会してから数年経過しても活動への参画意欲が低く、また役職に挑戦する向上心が低いことから、自ら発展と成長の機会を掴み切れておりません。一方で2023年度多くの出向者を輩出し、出向先での多くの気づきと学びの機会から成長しLOMの運動に還元しているメンバーもいることから、個々のJC活動への積極性や成長度合いに格差が見られます。この格差はLOMの存在意義や方向性の違いを生みだす恐れがあることから、改めてLOMの存在意義や方向性を共有し、メンバー全員にJCの理念を浸透させることが必要です。

 そこで必要となるのは、組織の社会的意義の重要性が問われる現代において、会員のみならず全てのステークホルダーに向け自分達の存在意義を示し社会とともに成長するという、「PMVV」という考え方です。「PMVV」とは、これまでのMission・Vision・Valueに「Purpose」を加えたものです。近年、「新しいPMVVを策定しました」と発表する企業が非常に増えています。Purposeを軸にしたコンサルティングを行うエスエムオー社の調査によると、プライム上場企業の中で公式にPurposeを掲げている企業は、91社に上っています(2022年5月現在)。Purposeへの注目がこれまで以上に集まっているのは、組織を見つめたとき「そもそもこの組織って、何のためにあるのか?」という問いです。つまりMission、Valueをより深く突き詰めた組織の存在意義である「Purpose」に目を向けるようになっているのです。ちなみに組織というのは実際には存在せず、実際に存在しているのはそこで活動している「人」そのものです。よって活動する人たちも、自分たちの存在意義である「我々という存在はなんなのだろう」ということを深く考えるようになりつつあります。

 まず、Purposeの策定にはメンバー全員が携わり当別JCの特色について考え未来も見据えこのまちで存在意義のある持続可能な組織であり続けなければなりません。策定したパーパスをメンバー全員が理解することで同じ方向を向いてJC活動に積極的に参画する機運が高まりLOMの運動も大きくなりまちに与える影響力も大きくなります。また、メンバーの中には在籍年数が短いことによりJCの理念が浸透していないメンバーも多くいます。我々が地域から求められている課題に向き合うためには、そのメンバーが十分にJCの理念に共感し、JC運動に対して主体的に参画するJAYCEEを育成して参ります。

これからも当別JCがこのまちの行政、各団体、町民からの信頼と付託からこのまちで持続可能な組織として活躍できるよう、当別JCの存在意義を定めメンバー全員が同じ方向を向くことでLOMの組織基盤を強化し運動を最大化させて参ります。

創立45周年に向けて

 2025年、当別JCは創立45周年を迎えます。1980年にこのまちを想う47名の青年達が青年会議所を立ち上げてからこのまちの明るい豊かな社会の実現に向けて活動して参りました。青年会議所は単年度制で運営されており、理事長の方針に基づいて毎年運動を展開していますが、その根底にある創始の精神は43年間脈々と引き継がれ、一時は会員の減少によりLOMの存続が危ぶまれることもありましたが、先輩諸兄の弛まぬ努力により今日まで歴史を積み重ねてきました。これからも我々現役メンバーは当別JCの創始の精神を引継ぎ、これまで先輩諸兄から連綿と紡がれてきた当別JCの運動の歴史を認識し、先輩諸兄の想いを継承し創始の精神を次代へ繋ぎ創立45周年を担うことへの当事者意識を醸成する必要があります。

 創立45周年を迎えるにあたり前回策定した中期ビジョンを振り返り、今一度当別JCの運動の歴史を辿り、先輩諸兄が残した功績により今の当別JCがこのまちで活動できることに感謝の念を抱き、創立45周年を迎えられるようにメンバー全員の機運を高めて参ります。

おわりに

 私自身、入会してから多くの先輩からアドバイスをいただき、また事業の構築や日々の活動で困難なこともありましたが、多くの仲間に助けられて今日まで活動することができています。

 入会してから様々な発展と成長の機会があり、入会前には無かったこのまちの未来を良くしたいという想いも青年会議所運動の中で私の中に刻まれました。

 この入会後の個人の意識がより良く変革する環境こそ唯一無二の当別JCの価値であり、規律あるLOMの運営により志を同じくする素晴らしい仲間とこのまちで運動を起こしていくことができます。この価値をこれからも不変のものとし次代へ引き継ぐことによりこのまちで存在感を発揮し輝く組織であり続けることができます。

 この先どんな困難があっても志を同じうする素晴らしい仲間と共に助け合い、当別JCらしさを忘れずに当事者意識をもって主体的に運動し、この組織の輝きをより大きなものとするとともに、創始の精神を受け継ぎ当別JCらしさを最大限発揮して、行政、町民を巻き込み次世代がこのまちに希望の持てるまちづくりを積極的に挑戦して参ります。

一般社団法人 当別青年会議所

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