2025年度スローガン

雲外蒼天

雨雲の上には青空が広がっている。
今ある苦もやがて去って良いことがある。
試練や困難を乗り越えれば、素晴らしい結果が待っている。

理事長所信

2025年度理事長

小竹 泰斗

KOTAKE TAITO

一般社団法人 当別青年会議所

はじめに

 私は、このまちの出身でもなければ、このまちで現在働いてもいませんし、住んでもいません。
最近よく聞かれます。なぜ当別JCに入会しているのか。

 私は、北海道医療大学卒業後、町内の社会福祉法人で10年間働いていました。当別町で勤務する中で、多くの方と出会いました。その時頻繁に「当別何もないよね」という言葉を耳にし、暗い顔で自分自身が住んでいるまちのことを話している町民が多かったことが強く印象に残っています。そんな中で当別JCに出会いました。入会したきっかけは、当時努めていた社会福祉法人の理念の中に「福祉で地域をつくる」という言葉があり、青年会議所がまちづくりの団体であると知ったことで、地域をつくるとまちづくりが似ていると思い、何かこのまちで私ができることはないか、このまちに住まう方々に笑顔になってほしいと思い入会しました。入会した頃は言われるがまま例会や事業に参加し、様々な役職を経験しました。入会してから数年が経った時、先輩に「小竹、成長したな」と言われることがありました。当時の私には成長した実感はありませんでしたが、青年会議所運動を通して様々なことを経験し、まちの歴史を調べ当別町の成り立ちを学び、まちの課題に対して向き合い活動していく中で多くの方からご教授いただき、私自身の見分も広げることができたからこそ、成長につながっていたのだと感じます。そして振り返ると、青年会議所活動をしていく中で、例会に参加したら役割があり、委員会に参加したら書類作成などの役割があり、委員長には委員会を引っ張るリーダーという役割があり、いつも役割という名の負荷がありました。負荷があるからこそ人は成長します。さらに成長したら、次の新たな役割をいただき、また成長します。成長を実感し、会社や地域に貢献できていると感じたからこそ、今日まで当別町で青年会議所を続けています。この成長することができる環境こそが青年会議所の魅力の1つです。

 これから先、どの時代を切り取っても当別JCが存在し、まちづくりを行う団体として一人でも多くの人財を輩出していくために、インパクトのある事業を行い、まちの課題を解決し、当別町民の信頼に応え続けることで、このまちに当別JCの存在価値を発揮していかなければなりません。

 ひとりでも多くこのまちで活躍できる人財を輩出し、青年会議所の存在価値を高めこのまちに住まう全ての方々が当別町の可能性を感じ多くの希望を抱いた先に、笑顔溢れるまち当別を創造してまいります。

新たな可能性

 当別町は、基幹産業である農業、ロイズタウンや道の駅等の商業、当別ダムや道民の森などの豊かな自然、武士が開拓したまちという北海道では稀有な歴史など、多くの魅力があります。しかし現在の当別町は多くの問題を抱えており、その一つとして挙げられるのが、2028年の北海道医療大学の移転問題です。現在町内には約800人(2023年10月11日「毎日新聞」より引用)の学生が住んでおり、この学生が当別町から離れてしまうと、学生が住んでいたアパートなどの不動産業、学生がお客として通っていた、もしくは働いていた飲食店などの外食産業やスーパーやコンビニなどの小売業など、様々な産業の衰退が起こることが予測され、さらなる人口減少につながるという負のスパイラルに陥る可能性があります。さらに、人口戦略会議が発表した「令和6年・地方自治体「持続可能性」分析レポート」の内容では、2020年時点での状態がこのまま数十年続くと、当別町は「最終的に消滅する可能性がある」と衝撃的な発表がありました。今までのように大学生が当たり前にいる時代でもなければ、将来当別町の人口が大幅に増える見通しがない中で、このままいけば、人口戦略会議が出した通りの結果になってしまうでしょう。一方で、国道337号線の新千歳空港までの延伸を含めたインフラストラクチャ―(以下インフラ)整備が急速に進んでいます。このインフラの整備によって、当別町産農作物などの生産物が道外や海外への輸出ルートの拡大、新千歳空港から当別町を通る観光客増加につながることが予想されます。しかし、観光客に関しては現状の当別町だと通過するだけのまちとなり、インフラ整備の恩恵が小さく、発展につながりません。インフラ整備が進んでいく中で、現状の通過型観光から滞在型観光への転換を狙い、当別町の価値や魅力を町外へ発信していかなければなりません。
 そこで、今世界で注目されているAT(アドベンチャートラベル)という旅行形態があります。このATとは「アクティビティ体験、自然体験、文化体験の3つの要素の内、2つ以上の要素で構成される旅行」のことです。ATは世界市場規模で70兆円とも言われており、世界的な成長産業と呼ばれ、従来の旅行形態「マスツーリズム」と比較して旅行者一人当たりの消費額が大きいことも特徴です。また、観光施設の新築や大型施設の建設など大きな投資は必要がなく、誰でも始めることができるのもATが注目される理由の一つです。当別町には農業、商業、豊かな自然、歴史など多くの地域資源があり、この地域資源をATと掛け合わせ、ただ旅行者が宿泊するだけではなく、ATの要素を取り入れることでより多くの経済効果を期待できます。また、旅行者の中にはこのまちの自然や文化に触れることで当別町への移住を検討する人が増える可能性もあります。観光客という交流人口が、まちの魅力に触れることで、関係人口となり、そしていつしか定住につながる可能性もあります。そして定住は、新たな雇用を生み出しまちの経済活性化と人口増加の好循環ができると考えます。私達が魅力と感じていないことも、町外からは魅力的に思え、価値を感じる方がいます。この地域資源を活用した新たな産業により、地域経済の発展と定住人口の増加の双方を考えることができます。
 この逆境の時代だからこそ行政、地域住民、関係各所と連携し、このまちの農業、商業、豊かな自然、歴史、文化などの魅力を発信し、体験するATの新たな可能性を見出し、持続可能なまちの創造に向けて邁進してまいります。

理念共感からスタートする会員拡大

 近年の当別JCは、会員拡大により新規入会者数は増加傾向にあります。一方で、卒業されるメンバーや退会者などで純粋にメンバーが増えているとは言えません。特に、入会後3年以内に退会してしまうメンバーがここ3年の間に5名となり決して少なくないのが現状です。退会者が多く出ているという事実から、本当に会員候補者が青年会議所の理念に共感した結果、入会していただけているのか、再度見つめ直さなければなりません。青年会議所運動の本質の一つは、町民の意識変革であり、その最たるものが会員拡大です。しかし、近年の会員拡大は数値目標に囚われ、入会してもらうことに重きを置いていることが多く、青年会議所の価値や魅力を理解し、理念に共感した結果、会員候補者の意識変革が起こり入会したとは言えません。また、拡大担当の委員長のみが会員拡大を行っていることが多く、LOMとして会員拡大を行っているとも言えません。LOMメンバー一人ひとりが価値や魅力を理解していなければ、会員拡大はできず、結果として、運動のエネルギーをより大きなものにすることができません。
 会員拡大の本質は、理念に共感し、ともに運動を行う同志が増え、青年会議所運動をより大きくしていくことです。理念に共感していない人が入会すると、例会に来ない、事業に参画しないなど、青年会議所運動を大きくすることにつながらず、反対に一体感を損なうことにつながりかねません。そのため、青年会議所の価値や魅力に共感した結果入会していただくことが会員拡大であると考えます。
 今一度、会員拡大の本質を再認識し、メンバー全員が当別JCの価値や魅力を理解し、伝播できる人財となり、全てのメンバーが会員拡大で活躍できる環境を構築し仲間を増やすことで、より大きな青年会議所運動を展開できると確信しております。

エネルギーの最大化

 青年会議所は「奉仕」「修練」「友情」の三信条のもと、明るい豊かな社会の創造のため日々活動しています。現状の当別JCは、委員会に参加しない、例会に来ない、事業に来ない、京都会議、サマーコンファレス、全国大会、地区大会に来ないメンバーもおり、LOM内外の事業に参加しているメンバーは、いつも同じです。そして、各種事業に参加しなくても良い組織風土ができてしまっています。しかし、委員会や例会に参加しなければ、青年会議所では成長する機会が提供されず、さらに、LOMとしての一体感もなくなってしまいます。一方で、青年会議所への優先順位が低くなっていることも考えられます。昨今は多様性の時代と言われており、家族や仕事などメンバー一人ひとり事情はあるかもしれません。この多様性とは、異なる背景を持つ人々が共存し、お互いに尊重し合うことであり、社会の中でより良いコミュニケーションや協力を生む出すために欠かせない要素です。しかし、多様性とは、何もかも許容することではありません。組織として変わらないもの、変えてはいけないものがあり、それが創始の精神や組織の理念だと考えます。ただ当別JCでは、青年会議所の価値や魅力、目的を理解していないメンバーの多様性を許容した結果いつの間Ver.12にか、そのようなアクティブではないメンバーは地域貢献や自己成長などの入会当初の目的を見失い、事業に参加していないと考えます。当別青年会議所設立趣意書にある「わたくしたちの青年会議所は多忙でもいい、唯この地を愛し、未来に大きな夢と希望と情熱をもった青年の集まりにしたいと思います」とありますが、今の当別JCはこの設立当初の想いを受け継いでいると言えるでしょうか。青年会議所が何のためにあるのか、価値や魅力が理解できず、ただ組織に所属しているのではないかと思います。青年会議所は「運動」をする団体です。当別JCに所属しているメンバー一人ひとりが青年会議所の目的、価値や魅力をもう一度理解しなければなりません。
 私たちの周りには、目的、価値、魅力が多くあります。企業には企業理念、企業の存在価値、企業の仕事の魅力などあります。なぜ、目的、価値、魅力の言葉を使うのでしょうか。それは、人と人が仕事や活動をする上で、目的、価値、魅力で目指す方向性を同じにすることにより、一人では成し得ない大きな成果やエネルギーを生み出すことができるからです。だからこそ、目的、理念から、私たちが向かうべき方向性を同じにすることが、今の当別JCには必要であると考えます。
 メンバー一人ひとりが青年会議所の理念への共感が深まり、価値や魅力を理解し、伝播できる人財となることで理念共感のもとメンバーが一枚岩となり、より大きな青年会議所運動の成果やエネルギーが生まれることを確信しています。

多望

 近年この日本という国は、暗いニュースが多くなっていると感じます。新型コロナウイルス感染症の拡大、物価高騰、円安、地震や洪水、大雪などの自然災害、日々私たちの生活は脅かされています。当別町においても北海道医療大学の移転後問題に関連する若い世代の人口減少、商業や不動産業への経済的損失など大きなダメージが考えられます。しかし、今までこの当別町は順風満帆だったわけではありません。いつの時代も大きな分岐点に成り得る出来事がありました。その度にこのまちを愛するリーダーが、その大きな分岐点で良き方向へ導いたからこそ今日まで当別町は存在し続けているのです。我々が所属する当別JCもこの45年間先輩諸兄が信頼できる仲間とともに時代ごとの分岐点を良き方向に導き続けてくれたからこそ、我々までバトンが連綿と受け継がれています。今日、当別JCも多くの問題を抱えております。例会や委員会に参加しない、LOM外の事業に参加しないなど、青年会議所活動への参加率が低下しており、今後のLOMの存続に大きく関わる大きな分岐点です。これからの当別JCを担う我々が、未来の当別JCを担う方々、そして今後のまちを良き方向へ導いていくために何を残していけるのかを考えなければなりません。
 今を生きる我々には、先輩諸兄への感謝とともに当別JCの価値や魅力を高め、次世代へ紡いでいく責任があります。よく青年会議所の中で「~の職をお預かりしている」という言葉を耳にします。「預かる」には「頼まれたら、返す時まで責任をもって守る」という意味があります。単年度制の役職は「預かっている」に過ぎず、組織に「返す」べきものであり、次世代へバトンとして引き継ぐものです。これは単にバトンを受け渡せばよいとは思えません。より良き方向へ導く最善のバトンを渡すべきです。
 そして、このまちに住まう人々は明るいビジョンが見えない、または描けていません。だからこそ、まちに暗いビジョンが見えてしまい、暗い表情でまちを語ってしまいます。まちに住まう人々に明確な明るいビジョンを見せることでまちに対して希望をもっていただくことができます。この明るいビジョンというバトンを次世代に渡し続けていくことが重要だと考えます。
 青年会議所は地域課題に対して先進的に取り組むことでまちづくりを行っています。いつの時代も当別JCの運動を途切れず行ってきた先輩諸兄に感謝の念を送るとともに、このまちに住まう全ての方々に青年会議所を知っていただけるインパクトのある事業を行い、明るいビジョンを示すことによって、可能性を感じた次世代が希望を抱くことができるまちを創造してまいります。

おわりに

 近年、「JCに入るメリットって何ですか」と聞かれます。私自身、メリットは多くあると思っています。青年会議所のメリットとは、他者から与えられるものではなく、自分自身で見つけ掴み取るものです。他者から与えられる存在ではなく、他者に与える存在でなければ、この先直面する地域課題を解決することはできません。

 青年会議所とは明るい豊かな社会の実現に向けて運動する団体です。これからの時代、社会変化のスピードはより速く、今までの前提が覆されることがあるかもしれません。しかし様々な知見や経験を積んだJAYCEEだからこそ、どのような苦難も乗り越えていけると思います。

 これからも当別JCの想いと歴史を紡いでこられた先輩諸兄に感謝の念をもち、メンバー一人ひとりが自己研鑽に励み、青年会議所の価値を高め当別町に住まう全ての方々に必要であり続ける団体として、誰一人暗い顔の人がいない町、笑顔溢れるまち当別町を創造してまいります。

基本方針

  • 地域資源を活用した新たな可能性の創造
  • 理念共感からスタートするリーダーの育成
  • 理念共感による組織力の強化
  • 先達への感謝と希望満ち溢れるまちの創造